執事とメイドの裏表
執事とメイドの裏表 ─ イギリス文化における使用人のイメージ
- 作者: 新井潤美
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2011/11/22
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (14件) を見る
上流階級の人間が実生活では自分の身の回りのことも満足にできず教養すらないのに対してワーキングクラスの方が努力家で賢いけど身分の壁が越えられないって身につまされますわ。
ただ、子育てに障害が多すぎて上流階級の性格がねじれるのもよくわかります。そういえば、王室でも10代で外国にお嫁入りしたら祖国から連れてきた使用人は全員帰国させられて、周りは風習の違う言葉も通じない相手ばかりで妃が孤立化して、場合によっては精神疾患の症状と推測される状態になったという話をたまに聞きますね。
話は変わるけど、お金持ちっていうと黒いドレスに白いエプロンのメイドに囲まれているイメージがあったんですけど、あれは幻想だったんですね。女性は(主に経済的な理由で)男性使用人が雇えない場合の代替だったそうなので、大勢雇うぐらいなら全体の人数は減ってでも男性を雇うでしょうね。
ふと思ったのですけど、「高慢と偏見」で主人公のエリザベスがミスター・ビングリーの義兄でお金持ちのミスター・ハーストにあっさりとした煮込み料理(シチュー?)が好きと答えたら満足に会話もしてもらえなくなったと書いてあるのって、ミスター・ハーストが大食いで気取っているとしか思っていなかったけど、ベネット家では上流階級用料理も満足に作れない料理人しか雇えないから相手にされないっていう意味だったのかも。