女の評判

定子は枕草子のイメージでよく知られていますね。彰子は87歳まで生きて后として尊重されているし、現実的には彰子の方が後世への影響が大きいと思うのですけど(文学的には逆でも)、あんまり知られていないですね。
彰子は入内後には、一条天皇が笛を吹いていたら余所を向いていて「ちゃんと見て」と言われても「笛は聞くもので見るものではありません」と返したという権力者の娘らしい怖いもの知らずな少女のはずだったのですけど。10年後くらいには紫式部に、人の評判を気にしすぎて失敗しない事をよしとするため女房たちも無難な事しかしなくなり、周りから彰子のサロンは面白くないと言われていると書かれちゃっています。しかし、さらに時間がたつと栄華物語では、妹の妍子の派手好きを注意したりして交際費が負担になっている貴族たちから感謝されているとなっています。
でもこれって単に性格だけの問題じゃなくてこの頃から、稔ほど頭を垂れる稲穂かな的な、成功者は足を引っ張られないように謙虚に、上手くいかなかった人は馬鹿にされないように虚勢を張るという傾向があるような気もしなくもありません。