風が吹けば桶屋が儲かる(Ver.摂関政治)

去年、天皇さんがお誕生日に、死亡届が出されておらず戸籍上生き続けている人たちが見つかったニュースについてふれられていました。私もこのニュースにびっくりしたし、当初はお役所批判もしましたが、日本の戸籍って昔もいい加減だったから今はこれぞ日本の伝統と思ってます。

日本の戸籍は一応大化の改新ぐらいに始まったと言われています。(実際はもう少し後らしいです。)平安時代のころの戸籍も一部残っているんですが、これが明らかにおかしいんです。とにかく圧倒的に女性が多い。理由ははっきりしていて当時は女性の方が男性より税の負担が少なかったので男の子が生まれても女性として届けていたんです。つまり脱税ですね。
こんなこと後世の人間が記録を見ただけですぐにわかるのにどうしてばれなかったんだろうって実はしっかりばれていました。現地の税徴収係は人頭税=1人いくらって勝手に決めて徴収していたようです。(←違法です。)でも中央には女性だらけの戸籍に基づいた額の税を納めていました。差額はもちろんお役人のお財布の中です。
当然税収が減るのに中央の対策はっていうと結論的にはほとんど何もしませんでした。地方官のトップは中央から派遣された国司ですが、この国司は中央の権力者たちの推薦で決まります。で、推薦してもらうためにはそれなりの「おつきあい」、「ご挨拶」が必要になります。「おつきあい」、「ご挨拶」と一口に言っても藤原道長の新居の調度品一切を用意した受領がいるくらいですから、一般庶民の私には想像できないレベルです。他にも収入源があるとはいえ、↑の差額も相当すごかったと思われます。受領だって収入以上のものは出せません。戸籍問題に手をつけると受領が貧乏になる、もらえるものが少なくなる、となると貴族たちも消極的になります。
当時の税収は国家運営のための経費の残りが天皇家の財産になります。税収が減ると天皇家は貧乏になります。でも天皇はそんなに貧乏暮らしをしていたわけではありません。母の実家や妻の実家の援助がありましたから…。いつの世もお金を出してくれる人には頭が上がらなくなるものなのです。
で、どうして天皇家が貧乏かというと戸籍偽造で税がごまかされているからですね。(他にも荘園問題とかがありますから一概には言えませんが。)
千年前から天皇って戸籍問題に頭を痛める立場なんですね。