戦下のレシピ

を読みました。何気なく手にしたんですが、ものすごく良かったです。当時の婦人雑誌の記事が載っているところとか。歴史って後から書くと先入観とか価値観の変化とかでニュアンスが変わってるのを差し引いて考えないといけないとかまえて読んでいるので、当時の人が書き残したものだと気楽に読めます。
イギリス料理がまずい原因の一つに煮すぎ・茹ですぎがあるのですが、ってことは長い間イギリスは満足に食べるものがない貧しい国だったのではと推測しています。どんな地方でも食料が十分そろわない時って、混ぜ物をして嵩増しをするのですが、その中でも水っていうのが本当に何も無いときです。イギリス人は食べるものが本当に無くてひたすらたくさんの水で煮込むしかなかった時代の癖がぬけないのだろうと勝手に仮説を立てていたのですが、この本を読んでやっぱりねと思いました。
田舎出身者家庭の身としては、都市部と田舎の違いについて公正な視線だったのがポイント高いです。この時代って疎開してきた人々に冷たかったとか、食料と交換にお金や着物をもうけたとか田舎に対してかなり厳しいですよね。
レシピにお出汁の記述がないものが多いのですが、当たり前のことだからあえて書いていないのか、お出汁の材料が手に入らないのがわかっているから書かないのか、…後者かな。○○を入れてもいいとか、△△でもいいとか読んでいて当時の人はイラッとしたんじゃないかでしょうか。そんなもの手に入るわけないじゃないって。考えすぎでしょうか。
大体昭年14年ごろから終戦までのレシピが古い順にあるのですが、感想は
おいしそう。→これ本当においしいの?→味が想像つかない。→これ絶対おいしくない。→……。→これ料理とちゃう。
でした。
レシピがだんだん味が落ちていってるのに、手間ばっかりかかるようになっていると感じたので著者の意見にもうなづけました。戦争とは空襲や戦闘行為で命が危険にさらされることではなく、「寝不足で、重労働で、飯がない」というのは新しい視点だけどすごく納得できました。もう一度いろんな時代について考えてみたいです。