フランス王家危機一髪1

アリエノール・ダキテーヌという歴史上重要な女性がいまして、フランス王妃、イギリス王妃、両方になった珍しい女性です。アリエノールは兄弟がいなかったために、女性ながらアキテーヌ公爵の地位と財産を相続しました。アキテーヌというのはワインで有名なボルドーがある所です。アキテーヌ公爵家というフランス有数の権力・財力を外国に渡すことを避けるべく、フランス国王・ルイ7世はアキテーヌと結婚しました。とはいえ、当時のフランス王家はアキテーヌ公爵家よりも権力も財力もありませんでした。
残念ながらこの政略結婚夫婦の性格の不一致は半端なく、アリエノールは自分よりも権力も財力も劣っている夫のために我慢なんてしませんでした。色々あった挙げ句、アリエノールは他の男性と結婚するためにルイ7世との結婚の解消を選びました。その男性とはイギリス国王・ヘンリー2世です。結局、アキテーヌはイギリスのものになってしまいました。*1(但し当時は今のような国家はなく、アキテーヌに関係なく、イギリス国王はフランス貴族でしたが。)ヘンリー2世とアキテーヌの関係は今風に言うと略奪婚で、ルイ7世には不名誉なことでした。
しかし、後から見ればアキテーヌが出ていったことはフランス王家には幸運なことでした。実はルイ7世とアキテーヌの間には娘しかいませんでした。ルイ7世は再婚しましたが、やはり娘しか生まれませんでした。しかし、またまた後から見れば(不謹慎ながら)幸運にも王妃が早死にし、再々婚で、やっと息子が生まれます。しかもこのたった一人の息子は無事成長してフランス国王・フィリップ2世となり、ルイ7世の元で劣勢だった対英戦争を優勢に導き、領土も広げました。
フランス王家がというより、長年残った家って結果論的にはすごい強運ですよね。
おまけ。フィリップ2世が病気になった時、ルイ7世が夢のお告げを信じて、ドーバーを渡って交戦中のイギリスの教会にお参りに行った有名なエピソードがあります。単に強運なだけじゃなく(一部を除き)必死ですね。

*1:確か現アキテーヌ公爵はチャールズ皇太子だったはずです。