小さいおうち

始めて見た時から奥様がお召なのは銘仙だと思いましたよ。お太鼓の帯締めのところの帯が引っ込んでいて着付けに凝っていますね。
うちの田舎で使い続けている古い家具より昭和11年の家具の方が新しいタイプです。これが格差というものでしょうか。
キューピーさんがつやつやしているけれど素材は何でできているのでしょうか。
色足袋率高いですね。
マッサージする時にアップになって気になったんですけど、どうして水仕事をしている女中さんの手が荒れていないのでしょうか。
お正月は染の小紋なのか。子どもの部屋でお喋りしていていいのかと思ったけれどお正月ならお節だから手がかからないのですかね。
洗い張りしていますよ。面白いですね。でも、先端が尖っていて危ないから当たらないようにしないといけませんよ。
夫婦喧嘩の時の夫のセリフが他人行儀でこれぞ戦前のエリートの話し方ですね。
コンサートに行った時の奥様の着物が織に見えます。
お饂飩ってタキちゃんにはちゃんとあるのか心配でたまりません。まあ、こういう時に傍にいるかどうかは女性にとって大問題ですからね。
あのお布団に奥様が入れる気が全くいたしません。
お見合い用の衣装は奥様に頂いたのかしら。
そりゃあ、東京慣れしていた女中さんからしたら田舎っぽいだけでもう嫌でしょうね。っていうか、10代の適齢期の女性に孫のいるような再々婚の男性を親切で結婚相手として選べるあの夫と一緒にいたらいろいろつらいわ。
奥様はお太鼓なのにタキちゃんは半巾で貝の口なのはやっぱり布が多いと贅沢になるからかなぁ。
このお家姿見に化粧ビンの立っている化粧台まであるわ。応接間に飾り皿やリヤドロみたいな人形もあるし、本当にお金持ちですな。
西瓜ってひょっとしてご主人たちが真ん中で端っこはタキちゃんが食べるのですか。
帯の模様って体で覚えたクセがあるからそうそう間違えないと思いますけど。どうしたら逆になるの?――と思ったけど、ひょっとして夏物で単衣だから裏表間違えたらああなるのかもと気づきました。よっぽど手折り皺のついていない新しい帯だったんですねぇ。まあ、出しなに帯を見た瞬間に予想付きましたけどね。でも、帯締め帯揚げがぼかしか色違いで左右が逆な方が自然でよかったんじゃ。
麻布の奥様がモンペ姿になっている。でも、叔父様のところに行く奥様は羽織姿。
どんな時でもあるところにはあるんですよ。
最後まで和傘のタキちゃん。
女中とかモンペじゃないとかより、あの赤い家で十分非国民扱いではないですか。
空襲のシーンはこのお話の中では浮いていていらない気がしました。せめて無音の方がよかったのではないでしょうか。現在から突っ込みが入っていたけど、敗戦に向けてひた走っているのに市民が危機感なくのんびりしている姿がさらに悲劇だと思うので。
だからー、故人の記念館で当人のことを話すのはいいですけど、他人の個人情報をペラペラ喋るのはやめなさいよ。
母親の浮気疑惑っていう内容を知っているのに息子さんに自叙伝見せるの? 息子さん自身に突っ込まれていましたけど。
戦争でものがなくなっていくと奥様の着物さえ暗い色になっていっててよかったですね。髪飾りもなくなってしまいますし。しかし、夫がスーツからゲートルを巻く姿になっているのに妻は着物のままって、外出しなくていいっていうのもあるのでしょうね。
このお家は女中さんを大事にしていて待遇がいい方と思えるから、だからこそナチュラルな階級を感じて現在に生まれてよかったとつくづく感じました。それだけ時代考証がしっかりしていますね。今は10歳そこそこの女の子が目上の男性に言いたい放題でそれが許されるどころか賢いって褒められるような時代劇ばっかりですもの。
ところで、あのお家のどこが小さいのかわからないんですけど。