色色々

三国志というか中国では白は喪服でウェディングドレスは赤です。今の日本から見ると変ですがかつては日本も同じ感覚がありました。時代劇を見たらお葬式で白を着ていたりします。ただ平安時代は鈍色だったりするのでいつからかはわかりません。ただ今でも田舎ではお葬式で係によって白い着物を着たりしています。喪服=黒になったのは戦後と言われているけど、昔はお葬式で皆白を着ていた訳ではないんですね。
昔は資源に限りがあって布も今より遥かに高価でした。大半の庶民は一生古着しか着たことない、新品なんて花嫁衣装ですら夢のまた夢というのが当たり前でした。古着ですら何着も持っているわけがなく、わざわざ喪服を用意する余裕もありませんでした。落語に大家さんに挨拶にいくのに紋付きが一着しかなくて長屋の住人が着回して順番に行くドタバタ話がありますが、ある程度事実を反映しているのでしょう。こういう人たちに正式な喪服なんて求めることはできません。
ちょっと余裕がある庶民では黒の裾模様(今の黒留袖)を一着持っていて慶事にはそのまま着て、不幸には模様のところに黒い布を縫い付けて黒一色にして着ていたそうです。正式な喪服がない場合は正装である黒い着物で代用してもOKで済ませなくては仕方ないです。無いものはないんですから。
なぜ黒かというと黒は格の高い色とされていたからです。公家の身分の高い人たちは黒い束帯です。今でも男性の正装は黒紋付きです。女性も全く同じ模様でも黒とそれ以外の色では黒留袖、色留袖といって格が変わります。
黒というと裁判官ですが、染まらないというだけでなくきちんとした格好に見えるからだと思います。今は結婚式も欧米化して参列者もカラフルになってきたけど、かつては圧倒的に黒が多かったです。きちんとした服=黒という感覚が抜けなかったのでしょうね。ちなみに中国では黒=正義なイメージたそうで欧米とは真逆ですね。
中国も都市部では欧米化して純白のウェディングドレスが流行っているそうですが、年配の方々には縁起が悪いと不評だそうで、その内欧米とアジアの色のイメージって同じになるのでしょうか。日本でも若い人たちに結婚式に黒いドレスを嫌がる人が出始めていますけど、ほんの数十年前まで花嫁衣装も参列者も黒が無難だったんですが。そういえば花嫁とかぶるから白はタブーっていうのも日本にはない感覚で、花嫁衣装は黒、参列者は黒留袖な上、男性は花婿はじめ全員黒紋付きで真っ黒が普通だったんですけどね。(地域や階級によって違いはあります。)まあ今でも男性は真っ黒ですけど。