風が吹けば(受領ver)
大河に乗っかって鎌倉時代前の話を少しします。
平安時代の国司っていうのは主に中流貴族のなかでも受領と呼ばれる階級が担っていました。清少納言や紫式部もこの階級の人物ですね。で、この受領階級って強欲で有名でした。でも、「受領の中に強欲なタイプがいる」じゃなくて受領=強欲になっちゃうのは個人の性格だけの問題じゃなくてやっぱり社会構造上に問題があるわけです。
国司って任期4年なんですよね。現地赴任だからってのが大きいんですけど…。朝廷の役職は死亡か隠居しない限り続けられるんですけどね(左遷とか失脚はレアケース)。だから大きな収入源がたたれている期間がある不安定な職なんです。そのために、今後の生活費までできるだけ任期中に蓄えとかないといけないわけです。
さらにさらに、国司に任命される主な手段は権力者との関係なんですね。
例えば、日本は木造住宅なので火事が多くて藤原道長の家が火事になったことがあります。でも、道長は新しい家をただで手に入れました。とある受領が家の建て直しをすべて引き受けたからです。いくらかかったかわかりませんが、日本のトップの住む家ですから億単位でしょうね。流石に、負担が大きかったらしく、その辺の貴族の屋敷や寺院に良さそうな石や木があれば不法侵入して勝手に持って行ったり、庶民の家を勝手に解体して使ったり、通行人を拉致してただ働きさせたりして節約していました。そこまでしてもすごい出費でしょうけどね。当然このお金は全て国司赴任先で取り返すわけです。
こういう構造から来る都からの搾取に対してNoを意志表明するのに初めて成功したのが鎌倉幕府になります。